『汚れた血』

監督:レオス・カラックス

たまにはLDプレーヤーも起動してやらねば、ということで今夜はレオス・カラックスLDBOXから『汚れた血』をチョイス。これ観るの何年ぶりだろう。さて・・・。


大胆で挑発的なショット。映像の疾走感。全編に若さと才気がほとばしっている。散漫な脚本や語り口の荒さはさして気にならない。むしろそれが有難いと思えるくらい映像そのものにのめり込んでしまう。真夜中、ドニ・ラヴァンジュリエット・ビノシュが取り留めのない会話をする長い長いシークエンスのとてつもない濃密さと緊張感。言葉は何一つ心に響いてこないけれど、突然刺し込んでくるような鋭いショットは無数に散らばっている。夜の街をラヴァンが疾走し、ジュリー・デルピーが颯爽とバイクを駆り、ビノシュは走りながら両手を広げて微笑む。それだけの映画。これこそが映画。