2004-06-01から1ヶ月間の記事一覧

 『刑務所の中』

監督:崔洋一ほんわかしたユーモアとともに穏やかに過ぎていく規則正しい日常。ここは本当に刑務所なのだろうか?非人間的な囚人の扱い?いやいや、大手サービス業の"教育"ほど酷くはありません。失業率が高くホームレスの多い国では、わざと犯罪を犯して衣…

 『神の子たち』

監督:四ノ宮浩フィリピン。巨大なゴミ山に住み、ゴミを売って日々を食い繋いでいる人々を追ったドキュメンタリー。汚染された水を飲んで暮らす女性たちから生まれてくる障害をもった子供たち、死産や病気で毎日のように死んでいく子供たち、しかし後から後…

 新たに増えた銀盤

『ざくろの色』『テオ・アンゲロプロス全集DVD-BOXⅡ <国境>』

 『ざくろの色』

監督:セルゲイ・パラジャーノフ絢爛の色彩と抽象的な様式美が奏でる幻想の映像叙事詩。思考させることを拒絶するかのように描き出される圧倒的なイメージと感覚の世界。ほぼ全編、固定キャメラ(一回だけ動く)と正対ショットと俯瞰だけで構成されているの…

 『攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG 03』

1本目は謎の反動テロ組織「個別の11人」が絡んでくるエピソード。「5.15事件」の青年将校たちを神聖視することによって、国に対する破壊活動を聖化しようとするテロリストの狂信的な理念が、膨大なセリフと細かいデータによって明らかになっていく。捜査面で…

 『人間は何を食べてきたか 第5巻』

今回から新シリーズ「海と川の狩人たち」がスタート。海編2本を収録。まず1本目は400年もの間「生存捕鯨」によって暮らしてきたインドネシア・ロンバタ島の漁民たち。いや〜強烈!今までで最もインパクトのある内容でした。1,000m以上の深い海に囲まれた島な…

 新たに増えた銀盤

『浜辺の女』『座頭市地獄旅』『座頭市の歌が聞える』『座頭市鉄火旅』『座頭市あばれ火祭り』『座頭市御用旅』『どん底』(クライテリオン盤)

 『ピクニック』

監督:ジャン・ルノワールささやかなピクニックの情景が、究極の映画的モチーフになってしまうルノワールの小宇宙。柔らかく眩しい光線が、陽性の官能性と相俟って、何とも幸福感溢れる自然主義的な世界を生み出している。本作は「揺れの映画」と言っても良…

 新たに増えた銀盤

『ピクニック』アンゲロプロス箱はなぜか入荷しておらず。

この日は体育館でバレーボールとバスケを4時間みっちり。背中ヒリヒリ、身体ダルダル。

梅雨の中休みを利用して友人と伊豆へ釣行ドライブ。深夜の3時半頃に出発し、半島外周をひたすら走り、西伊豆は伊豆長岡の近くにようやく良さげな漁港を発見した時には、既に午前10時を過ぎていた。風がちょっと強かったものの、約8時間たっぷりと釣りを楽し…

 『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』

監督:本広克行ん〜どうにも中途半端なエンタメ映画。枝葉の部分ばかりに気をとられて、幹をなおざりにしてしまった感じ。脚本がヘンに懲りすぎかも。もっとシンプルで良かったと思う。構成が冗長なので、作品全体のテンポが悪く、間延びしている感は否めな…

 『攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG 02』

1本目は政府高官のお歴々が自慢のセクサロイド(性的愛玩サイボーグ)を伴って夜な夜な淫らな饗宴に耽るという『アイズ・ワイド・シャット』を彷彿させるような、ちょっとアブナイ話。少佐もいつになく露出度が高い。人形へのフェティシズム、エロティックな…

 『長屋紳士録』

監督:小津安二郎『お早よう』の原型のような市井の小さなコミューンを舞台にした人情喜劇。いわゆる「喜八もの」だが、喜八はほとんど出てこない。キレのある会話のリズムとテンポが心地良さと滑稽味を醸し出している。飯田蝶子演じる強面の因業オバさんが…

週末は友人から借りた北野武の『座頭市』を観る。ん〜やっぱり武の演じる座頭市は薄っ気味悪いですね。非人間的で、ほとんど殺人ロボット(ハスミンは宇宙人と評したそうですが)。とてもじゃないですが、武の市を「市っつぁん」と親しみを込めて呼ぶことは…

 『人間は何を食べてきたか 第4巻』

前巻に続いて「アジア・豊かなる食の世界(1)」。今回は「茶」と「醤油」。お茶発祥の地とされる中国・雲南省の少数民族の村(お茶は特産品なので村人は特別な日以外は喫茶をしない)。そこには樹齢800年のお茶の樹が、慎ましくも堂々と存在しています。タ…

 『スプリング−春へ』

監督:アボルファズル・ジャリリ親と生き別れになってしまった少年と、森に住む孤独な老人の交流を描くことによって、戦争の罪悪性を浮き彫りにする。イラン北部の厳しい冬、雨がちで薄暗い森の雰囲気は、乾燥した荒野と容赦ない陽光が照りつける他のイラン…

 『あの子を探して』

監督:チャン・イーモウ再見。語り口が恐ろしく巧みな感動作。田舎と都会の対比という点は、同監督の傑作『秋菊の物語』を彷彿とさせる。あまりにも良く出来すぎているのが欠点だけれど、子供たちの表情や所作が、本作の持つあざとさを見事に中和している。…

 『少林サッカー』

監督:チャウ・シンチー愛すべきおバカ功夫スポ根ムービー。リミッターが解除された誇張とギャグの世界。そのあまりのアツさ、デタラメさに脳みそも溶解寸前。やっぱり香港映画のパワーは半端じゃない。最後の決着の付け方なんてまさにミラクル。笑って、泣…

 『北京ヴァイオリン』

監督:チェン・カイコーイーモウの「幸福三部作」同様、巧みな説話と卒のない演出が心憎い、通俗的な面白さに溢れた良質の感動ドラマ。貧しい音楽教師チアンとお水系の女リリ、主役の父子と関わり合いを持つ、この2人の登場人物が面白い。特にリリはかなりの…

 『ボウリング・フォー・コロンバイン』

監督:マイケル・ムーア過剰な報道によって恐怖の念を増幅させていくマスコミと同じ方法を用いた映画によって銃社会アメリカへの批難の念を増幅させるべく仕向けるマイケル・ムーアの危ないドキュメンタリー。過激な毒を撒き散らす黒い笑い。暴力によって積…

 『幕末太陽傳』

監督:川島雄三乾いた質感と軽味、リズムカルでスピーディな会話が心地良い異色時代劇。遊郭というちょっといかがわしい空間が実に鮮やかな舞台装置として機能している。多彩なキャラクターも魅力的で、中でも主役の佐平次を演じるフランキー堺のパワフルで…

 『一人息子』

監督:小津安二郎『東京物語』の原型とも言える作品。理想と現実のズレに戸惑う親子の葛藤をシビアに描いている。母と息子がオバケ煙突の見える原っぱに座り込んで語り合うシーンと、夜中のちょっとした諍いの後に挿入される長い空ショットが印象的だった。…

 『人間は何を食べてきたか 第3巻』

新シリーズ「アジア・豊かなる食の世界(1)」がスタート。今回は「麺」「カレー」「タロイモ・ヤムイモ」の3編です。麺発祥の地といわれる中国・北西部の雑穀を使った麺作り(土地が貧しく、水が貴重なために小麦の麺は年に数回しか食べられない)。豊かな…