『あの子を探して』

監督:チャン・イーモウ

再見。語り口が恐ろしく巧みな感動作。田舎と都会の対比という点は、同監督の傑作『秋菊の物語』を彷彿とさせる。あまりにも良く出来すぎているのが欠点だけれど、子供たちの表情や所作が、本作の持つあざとさを見事に中和している。無垢さとしたたかさ、活き活きと人間らしい子供たちの姿には、計算を超えたリアリティが宿っている。少女ミンジと児童たちの関係性の変容を、白、土色、極彩色と変化していくチョークの色によって象徴させているのが面白い。絶妙のタイミングで流れ出す情緒的な音楽に「卑怯なり!」と思いながらもしっかり泣かされてしまうんですよねぇ(笑)。