2004-02-01から1ヶ月間の記事一覧

 新たに増えた銀盤

『青春群像』(中古)

『紅いコーリャン』

監督:チャン・イーモウ極限まで物語性が排除された生と性と暴力の寓話的世界。あらゆる要素を"紅"に象徴させて描いた壮絶なホラ話。無色透明のコーリャン酒を紅く染めてしまう大胆さ、力強い様式美に溢れた構図、硬軟両様のキャメラワークなど、イーモウの…

 新たに増えた銀盤

『小早川家の秋』『ジャック・タチの世界 DVD-BOX』

 『小早川家の秋』

監督:小津安二郎気味の悪いホームコメディというのが観終わった直後の印象だった。カラッとした明るさと登場人物たちの笑顔に彩られていた物語は、司葉子の不吉な涙をきっかけにして何やら異様な様相を帯び始める。病床の中村鴈治郎が、突然白い着物、頭上…

毎回楽しみにしている番組「BSマンガ夜話」。この日取り上げられていたのは「自虐の詩」という漫画。ゲストとレギュラー陣が尋常でない盛り上がり方をみせ、いつになく面白かった。いつも毒を吐くいしかわじゅんが呉智英や夢枕獏と一緒になって無邪気に作品…

 『神の道化師、フランチェスコ』

監督:ロベルト・ロッセリーニ牧歌的な丘陵地帯を舞台に、フランチェスコとその弟子たちの質朴な共同生活をユーモラスに伸びやかに描いた10篇のエピソードからなる映像叙事詩。宗教映画というとベルイマン作品のような厳しくて堅いイメージを想起させるが、…

 『欲望という名の電車』

監督:エリア・カザンあまりにも激烈な演技とドラマに観終わってグッタリしてしまった。初めは生活に疲れたちょっと神経質な中年女性という印象を与えるヴィヴィアン・リー(あのスカーレット・オハラがここまで老醜を晒すなんて!)。しかし、それすらも仮面…

 『女は女である』

監督:ジャン=リュック・ゴダール言葉と音楽、そして"映画"を道具にとことん戯れ尽くすポップでキッチュなゴダール式ミュージカル喜劇。矛盾に満ちた言葉と行いの波状攻撃。とにかく落ち着きのない映画だ。アンナ・カリーナはいつでも軽快に髪の毛を触って…

週末は何も観れず。新たに増えた銀盤だけ紹介します。『海外特派員』『赤いコーリャン』『神の道化師 フランチェスコ』『黒い罠』『わが谷は緑なりき』(中古)

 『茄子 アンダルシアの夏』

監督:高坂希太郎自転車レースの醍醐味の一端が味わえる小品。一時間にも満たない短編ながら手堅くまとまっているし、物語もすっきりしていて後味が良い。キャラ造形も地味ながら好感が持てる。でも普通に良く出来ているアニメであって、それ以上でもそれ以…

 『HERO』

監督:チャン・イーモウ凄まじい"色"の映画。イーモウは『紅いコーリャン』LDに収録されているインタビューの中で「北方人は原色などの強い色彩を好む」というようなことを言っていた。本作はイーモウの色彩感覚と、様式へのこだわりが暴力的なまでに解放さ…

 『汚れた血』

監督:レオス・カラックスたまにはLDプレーヤーも起動してやらねば、ということで今夜はレオス・カラックスLDBOXから『汚れた血』をチョイス。これ観るの何年ぶりだろう。さて・・・。 大胆で挑発的なショット。映像の疾走感。全編に若さと才気がほとばしってい…

 『ミステリー・トレイン』

監督:ジム・ジャームッシュ異邦人たちによるファニーでストレンジなメンフィスの一夜。同じ時間軸の中で起こる3つの異なる物語。この3つの"車両"は、エルヴィスとゆったり動く貨物列車とTVがないホテルとDJ(トム・ウェイツ!)と銃声によって連結され一つ…

 『ストレンジャー・ザン・パラダイス』

監督:ジム・ジャームッシュどうしようもなく、さえなくて、ぶっきらぼうで、なげやりな青春を、とことん様式化した映像と演出と会話で、途方もなく格好良く描いてしまった凄い映画。ショットの切り返しを排したワンシーン・ワンショットによって登場人物3人…

 『旅立ちの汽笛』

監督:アクタン・アブディカリコフキルギス映画。徴兵を直前に控えた青年の茫漠とした不安感を、繊細なタッチで綴った青春群像の小品。何か"事"が起きた後も長々とキャメラを据え続ける独特の演出リズム(映像の余韻とでも言おうか)が不思議な心地良さを与…

 『ホテル・ハイビスカス』

監督:中江裕司沖縄の色彩と太陽のもと、底抜けに明るくて大らかでお茶目な人間群像がエネルギッシュに炸裂する!ヒロインの子役・蔵下穂波が全身これ元気の塊という快演を見せれば、個性ありまくりの脇役たちも負けてたまるかと大熱演。中でも父ちゃん演じ…

 『許されざる者』

監督:クリント・イーストウッド勧善懲悪も痛快も爽快もない、厳しさと曖昧さと暴力だけが存在する許されざる者達の世界。徹底してシンプルな演出と映像、だからこそ備わる映画の風格。殺しの仕事を終えたイーストウッドとジェームズ・ウールヴェットが小高…

今夜はキェシロフスキの「トリコロールDVD-BOX」から特典ディスクを視聴。監督本人と各カラーで主演した3人の女優のインタビュー映像で構成されています。各人だいたい20分くらいの簡素なものですが、女優の演技観や作品解釈、キェシロフスキがいかに細部に…

 『潜行者』

監督:デルマー・デイヴィスヒッチコックを彷彿とさせるフィルム・ノワール。主人公の主観で延々展開していくキャメラワークや表現主義的な映像など全編に漂う不気味な雰囲気が良い。ボギーの顔がいつまで経っても出てこない(スター主義を逆手に取った演出…

 『藍色夏恋』

監督:イー・ツーイェンクールミントのような味わいのこそばゆい青春映画。奇をてらわない正攻法の演出と脚本、透明感のある映像は、磯村一路の作風にちょっと似ているかも。自転車と海岸と夜のプールと体育館によって描かれる青い恋の錯綜。これ、まさにボ…

 『家宝』

監督:マノエル・デ・オリヴェイラ硬質で重厚な演出と、瑞々しい映像が何の違和感もなく融合してしまうオリヴェイラの映画は、ただ眺めているだけでも心が弾んでくる。北ポルトガル・ドウロ河流域の丘陵や古い街並みを捉えたロングショット(小津的な枕ショ…

 『トリコロール/赤の愛』

2週にわたったキェシロフスキ祭もいよいよ最後。第9夜目監督:クシシュトフ・キェシロフスキ仏国旗の赤は博愛を意味する。圧巻!犬を媒介にして生まれる老人と女性モデルの奇妙な交流。そして平行して描かれていく一組の男女の愛。それは老人が過去に失った…

 『トリコロール/白の愛』

キェシロフスキ祭。第8夜目。監督:クシシュトフ・キェシロフスキ仏国旗の白は平等を意味する。お互いに幸せも苦しみも等しく(?)味わった夫婦がたどり着いた愛の結末とは?という寓話めいた人間喜劇。登場人物はみなどこか滑稽味を帯びていて、キェシロフス…

 『トリコロール/青の愛』

キェシロフスキ祭もいよいよ佳境。第7夜目。監督:クシシュトフ・キェシロフスキ仏国旗の青は自由を意味する。薄淡く冷たい、青いヴェールに包まれた映像と、至る所に散りばめられた青が、ジュリエット・ビノシュ演じるヒロインの自由への渇望と恐怖、その無…

 『愛に関する短いフィルム』

キェシロフスキ祭再開です。第6夜目。監督:クシシュトフ・キェシロフスキ愛を知らない青年と愛を否定する女、孤独な二人が"覗く""覗かれる"という行為を通して交差する。荒唐無稽なシチュエーション、滑稽とも言える愛の形は、キェシロフスキの魔術によって…

 『スコルピオンの恋まじない』

今日もキェシロフスキ祭はお休み。監督:ウディ・アレン正統保守派監督・ウディ・アレンの余裕しゃくしゃくな職人芸が小気味良い、小さくて高性能なスクリューボール・コメディ。ルビッチにキャプラ、ワイルダーやホークスをチャンポンして悪酔いしないのは…