2003-08-01から1ヶ月間の記事一覧

 『駅馬車』

監督:ジョン・フォードやっぱり最高に面白い。シンプルで味わい深い脚本、素晴らしい人物造形、印象的な音楽、画面から飛び出してきそうなド迫力の馬車馬疾走、インディアン襲撃シーンの躍動感溢れるモンタージュ。騎兵隊参上シーンなんて鳥肌もの。高らか…

 『夏至』

監督:トラン・アン・ユン水と緑と光線と黒髪が圧倒的な存在感を放つトラン・アン・ユンの癒し系モイスチャー・ムービー(笑)。前作同様、物語性を放棄して、ひたすらイメージの力だけで押し切ってしまう作品だ。映像の吸引力が尋常ではないので、退屈なのに…

 『アニー・ホール』

監督:ウディ・アレン模倣と引用を駆使し、あらゆるコンプレックスを曝け出しながら、あくまで軽妙にペダンティックに恋愛論を語っていく悩める都会人ウディ・アレンの愛すべき小品。サエない容姿から生み出される彼の演出スタイルは、演じる彼自身の情けな…

 『草ぶきの学校』

監督:シュイ・コンNHKドラマのような生真面目さと温かさを持ったノスタルジックな小品。やっぱり素朴で無邪気な子供を捉えた映画には独特の輝きがある。表情豊かなアップショットが何とも魅力的だ。TVゲームとコンクリートの世界で育った今の日本の子供たち…

 『お早よう』

監督:小津安二郎小さな貸家住宅の日常とテレビ導入をめぐる些細な家族騒動を描いた小品。話の題材としては全く平凡なのに、他のあらゆる部分が独創的な様式によって構築されている"小津的"な美と調和の世界。その凄み。無駄なものこそ世の中には必要なんだ…

 『座頭市逆手斬り』

監督:森一生藤原寛美のすっ呆けたキャラが効いていて、今までにないコミカルな味が楽しめる。話としてはもう一捻り欲しいところだが、海沿いの道や砂浜をひたゆく市を捉えたロングショットなど、荒々しくも詩情性豊かな映像美を堪能できる。ただしアクショ…

 『ふたりのトスカーナ』

監督:アンドレア・フラッツィ&アントニオ・フラッツィ孤児である幼い姉妹に惜しみない愛情を注いでくれる叔父と叔母、愉快な友人たち、変わり者だが心優しいピアノ教師、大らかな小間使いたち。夏の陽光降り注ぐトスカーナでの夢のような日々。しかし国家…

 『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』

監督:クリント・イーストウッド『フルメタルジャケット』をスポコン青春モノにしちゃったような珍妙な戦争映画。単純明快なドラマの裏に見え隠れするのは"強きアメリカ"復活への叱咤激励か。イーストウッド演じる時代遅れの鬼軍曹が渋い。タフで、粗野で、…

 新たに増えた銀盤

『ブローニュの森の貴婦人たち』

銀盤とは関係ありませんが、この日、友人と車で伊豆へ釣りに行ってきました。約2年ぶりの海の景色と潮風の匂いは格別でしたねぇ。やっぱり良いです、海は。えっ、釣果ですか?ん、まぁ雑魚をチョロチョロっと引っ掛けて遊んでいましたよ、ええ(笑)。日焼けで…

 『座頭市二段斬り』

監督:井上昭珍しく勧善懲悪がくっきり分かれた娯楽作になっている。多用されるアップ&俯瞰ショット、敵用心棒とのやり取りにおけるハードボイルドな描写など監督独自の色が濃く出ている点が良い。最後の大殺陣は圧巻だったが、ちょっと"らしくない"かも。…

 アメリカから荷が到着

『Zatoichi the Blind Swordsman, Vol. 9 - Adventures of Zatoichi 』『Zatoichi the Blind Swordsman, Vol. 10 - Zatoichi's Revenge』『Zatoichi the Blind Swordsman, Vol. 11 - Zatoichi and the Doomed Man』

 『座頭市関所破り』

監督:安田公義無難な仕上がり、という表現がしっくりくる座頭市。話的にもアクション的にも特筆すべき点は見られないが、脇役が実に良い味を出している。顔といい声といい何とも個性的。昔の邦画にはこういうアクの強い端役がゴロゴロいるから楽しい。ヒロ…

 『式日』

監督:庵野秀明曖昧な生と死の境界線でもがく女性の魂の再生を描いた前衛映画。内容的には相変わらず庵野秀明の独り善がりが炸裂している感じ。セリフはどうにも陳腐だが、映像は一種独特の魅力を放っている。ただ寺山修司の二番煎じは否めない。山口県宇部…

 『どこまでもいこう』

監督:塩田明彦どんなにリアルな児童映画も所詮は大人の視点で描かれた子供の世界に過ぎない。でも、本作にはあの頃にしかなかった"特別な何か"、その時間と空間の存在を確かに感じることができる。ヴェンダースの系譜に連なる情景ショット、ロケット花火と…

 『ルパン三世 ルパンVS複製人間』

監督:吉川惣司オモロすぎ!軽妙洒脱、荒唐無稽、シュール、エロティック、ハードボイルド、スタイリッシュ、SF、多彩なパロディ、もう何でもござれのアナーキーなごった煮アクション。銭形の鬼気迫る追跡と次元のルパンに対するホモすれすれの感情描写が面…

 アメリカから荷が到着

『Paper Moon』『Lupin the 3rd - The Mystery of Mamo』の2本。ボグダノヴィッチの『ペーパームーン』はやっとリリースしてくれたか、という感じ。ちゃんとした仕様ながら実売11ドルと格安なのが嬉しい。ルパンの『マモー』はアナモ、オリジナル日本語音声…

 『モンスーン・ウェディング』

監督:ミーラー・ナーイル良作。国の文化や社会の断片を映す鏡として"冠婚葬祭"ほど適した素材は他にないだろう。ましてや舞台がインド、それも上流階級。極彩色の映像、陰と陽二つの恋、様々な人間模様。喧騒と混沌の末に訪れる歓喜の大団円、大雨の中歌い…

 『雨に唄えば』

監督:スタンリー・ドーネン&ジーン・ケリー何度観ても飽きがこない面白さ!試写でセリフの音がズレるシーン。「イエス、イエス、イエス!」「ノー、ノー、ノー!」、もう笑いすぎでハラ痛い。そして、やはり「Singin' in the Rain」よりも「Good Morning」…

 『バーバー』

監督:コーエン兄弟キャラ造形、音楽、脚本、構図、美しい白黒映像(光と影の絶妙なバランス!)、独特のリズム。あらゆる部分でコーエン兄弟の技巧が冴え渡る"良い映画"のお手本のような逸品。スローモーションの使い方も実にキマッている。ビリー・ボブ・…

 アメリカから荷が到着

『Cowboy Bebop - The Movie』『The Pornographers』『T2 - Extreme DVD』『Night and Fog』『HARAKIRI』の5本。北米盤のカウビィ劇場版は実売2,400円ぐらい。一方国内盤は約3倍の7,800円。前者には豊富なインタビュー映像やストーリーボード、各種設定資料…

 新たに増えた銀盤

『ウエルカム!ヘブン』

最近は映画よりも読書に夢中だったりするのですが、とりわけ今は"食”に関する本を乱読しています。読了したもの、読み途中のもの、それぞれをざっと列挙していくと『私の食物誌』(吉田健一)『御馳走帖』(内田百間)『最後の晩餐』(開高健)『魯山人味道…

週末はGガンを観ただけ。最終4話。ガテン系ガンダムの最後は日テレの24時間テレビだった(笑)。

 『耳をすませば』

監督:近藤喜文何気ない日常や街の風景がこれほど繊細に描かれているアニメは稀有だと思う。高台、坂道、急な階段、薄暗い裏道、一風変わった店、遠くを走る電車、夜景・・・また夏の陽光や木々の目に沁みるような緑など作画がとにかく素晴らしい。カントリ…

 『アイガー・サンクション』

監督:クリント・イーストウッド野性的なハードボイルドを感じさせる骨太の山岳映画。スパイ物にしてはプロットがやや強引で話も分かり辛くまとまりに欠けているが、それを補って余りあるくらい映像が力強い。登山シーンの迫力と緊迫感にはクラクラさせられ…

 『ギャング・オブ・ニューヨーク』

監督:マーティン・スコセッシ混沌とした黎明期のNYを描いた大作だが、見てくればかり立派で映画としての面白味が決定的に欠けている。ワクワクするようなショットは一つも出てこなかった。脚本も練りすぎて却ってまとまりが悪くなった感じ。嗚呼ぁスコセ…