2004-04-01から1ヶ月間の記事一覧

 『マーニー』

監督:アルフレッド・ヒッチコック華麗な犯罪劇を装った導入部から一転、危うい人間関係が織り成す心理劇へと移行して、遂にはサイコ的な主題がくっきりと浮かび上がってくる脚本の妙、そのスリリングな展開がたまらなく面白い。冒頭、黒髪だったティッピ・…

 『素晴らしき日曜日』

監督:黒澤明中盤以降の饒舌すぎる脚本と湿度の高い演出がどうにもあざとく感じられてしまった。戦争直後の作品だけに、頑張れニッポン!という監督の想いはひしひしと伝わってくるのだけれど、それが個としての作品の寿命を短くしていることは否めない。そ…

 『生きる』

監督:黒澤明極端にカリカチュアライズされた人物が織り成す、後半の通夜シーンが抜群に面白い。十人十色の人間模様が、ユーモラスに、ときに辛辣な皮肉も交えながらテンポよく展開されていく。ひときわ異彩を放つのが左ト全。セリフは少ないけれど、その存…

 新たに増えた銀盤

『夜』『さすらい』『ベニスに死す』『復讐するは我にあり』『失われた週末』『裏窓』(中古)『野性の葦』(中古)

 『アンナ・マグダレーナ・バッハの年代記』

監督:ストローブ=ユイレいわゆる音楽映画であるが、例えば『アマデウス』のような通俗性の強い娯楽作品とはまったく異なっている。ほぼ全編、演奏風景とバッハの妻アンナのモノローグだけで構成されているスタイルは極めてユニークだ。物語性や感情はこと…

 『見知らぬ乗客』

監督:アルフレッド・ヒッチコックヒッチコックお得意の巻き込まれ型サスペンス。ロバート・ウォーカー演じる飄々と異常な男が怖い。サソリ柄のネクタイにはビビッた(笑)。殺しと対決が、遊園地というおよそ似つかわしくない場所で行われるところがユニーク…

 『一番美しく』

監督:黒澤明一途な自己犠牲による国への献身を賛美したプロパガンダ映画。軍国主義下という抑圧の中に生きる女子工員たちの姿は、ある種の純粋ひたむきな美しさに満ちているが、そこには国家が押し付ける「個人を超越した崇高なる精神」というまやかしの鏡…

 新たに増えた銀盤

『Stories of Floating Weeds』『ZATOICHI-THE OUTLAW』

 『浮草物語』

監督:小津安二郎1934年の作品。すでに小津独特の映像様式であるロー・アングル、空ショット、反復動作などが顕著に見られる。話の筋やセリフ回しは、後年リメイクされる『浮草』とほぼ同じ。ただ、作品の印象は大きく異なる。白黒サイレントの『浮草物語』…

マルメロが花を咲かせたのでさっそくパシャリ。

 『キル・ビル』

監督:クエンティン・タランティーノいや〜強烈。参りました。ポップでキッチュ。映像と音楽の一体感。映画が不健康に躍動している。ここまで徹底的に映画と戯れることができてしまうタランティーノはやっぱり愛すべき映画ジャンキーだ。設定はハチャメチャ…

 『生きものの記録』

監督:黒澤明反核をテーマにした寓話性の強いドラマ。三船敏郎がすごい老けメイクで被害妄想にとりつかれた家父長をエネルギッシュに演じている。第五福竜丸に想を得て撮られたそうだが、北朝鮮の脅威に晒されている今の日本の状況を考えると、かなり今日的…

 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

監督:岩井俊二瑞々しい。思春期直前の少年少女のほのかな心のふれあいが繊細なタッチで描かれている。惜しむらくはフィルム撮りでないところ。フィルムだったら奥菜恵も神話の粋に達していたかもしれない(笑)。少年達をはるかに凌ぐ大きな背丈、ムチっとし…

漫画家の横山光輝氏が全身火傷により死去。その昔「三国志」を全巻持っていたっけ。いま手元にあるのは文庫本の「バビル二世」のみ。これを読んで故人を偲ぶとしよう。享年69。残念。合掌。

 『ファニーとアレクサンデル』(3時間版)

監督:イングマール・ベルイマン5時間版に比べると、さすがに物足りなさを感じてしまう。親権をめぐる激しい口論が延々と続くシーンのカットは、まあ時間的に仕方がないとしても、プロローグの後半部が抜け落ちているのはちょっと納得がいかない。あの日常か…

 『トーク・トゥ・ハー』

監督:ペドロ・アルモドヴァルエキセントリックで残酷で切ない、男の愛と友情を描いた寓話。アルモドヴァルが「ボーイ・ミーツ・ガール」をやるとこうもいびつになるものか(笑)。ある意味、すべての母(=女性)に捧げられた『オール・アバウト・マイ・マザ…

 『神田川淫乱戦争』

監督:黒沢清物語は完全に破綻、シュールな展開だけで押し切る妙ちくりんなポルノ。壁一面に張られた外国映画のタイトル、真俯瞰やジャンプ・カットを使ったHシーン、女優二人の微妙にハイテンションな演技、周防正行の陰気な管理人など、それなりに見所あり…

 『オープニング・ナイト』

監督:ジョン・カサヴェテスどの作品においても「まず人間ありき」という姿勢を一貫して貫いてきたカサヴェテスが、再びジーナ・ローランズを「こわれゆく女」として起用したバックステージ物。ベテランの舞台女優マートルが、ある事件をきっかけに精神を病…

 『チャーイニーズ・ブッキーを殺した男』

監督:ジョン・カサヴェテスいわゆる犯罪劇の体裁をとってはいるが、物語としてのリズムや、かっちりした筋の組立てなどにはまるで無頓着なところが如何にもカサヴェテスらしい。キャバレー経営者のコズモという男が、マフィアから借金を抱え込んで、殺しの…

 『こわれゆく女』

監督:ジョン・カサヴェテス初めから既にこわれていたであろうジーナ・ローランズ扮する3児の母。不安感と緊迫感が、何事も起きないかのように装われた、あらゆる場面に見えない形となって潜伏している。あるところでは表層に噴出し、あるところでは影を潜め…

 『フェイシズ』

監督:ジョン・カサヴェテス顔は口ほどにものを言う。延々と反復描写される取り留めのない会話と乱痴気騒ぎ、喜怒の感情ばかりが乱れ交う中、ふと本心が表面に浮き出てくる瞬間の表情。人間の複雑な意識の流れが、執拗に映し出される表情のアップショットに…

 『大砂塵』

監督:ニコラス・レイ女同士の対決という設定がユニークな異色西部劇。マーセデス・マッケンブリッジの狂気にも似た悪女っぷりは瞠目に値するが、気高い存在感のジョーン・クロフォードにはさすがに一歩譲るだろう。強烈な意志を感じさせる目と威厳のあるセ…

 『理由なき反抗』

監督:ニコラス・レイ若者の無軌道な行動と漠然とした不安を描いた痛々しい青春映画。やっぱりニコラス・レイは凄い。ナイフ・ファイトやチキン・レースにおける空間演出の素晴らしさ、後半、3人の若者が広大な無人館で寂しく戯れる夜のシーンの濃密感にも興…

 『暗黒への転落』

監督:ニコラス・レイ暗澹たる気持ちにさせられる法廷映画。物語の構成がとにかく巧い。被告人の過去が冗長に感じられるほど事細かく、しつこく描かれていく。しかし、その遠回りが、後半の法廷シーンでとてつもなく劇的な瞬間を生み出す布石になっている。…

昨年暮れにネット通販で購入したマルメロの苗木の芽から見事な葉が開いた。まだ枝数も少なく、幹もか細い。映画『マルメロの陽光』に出てくるような立派なマルメロに成長するには何年かかるのだろう。もう少し大きくなったらアントニオ・ロペスを気取ってス…

今日は久しぶりに友人H氏と呑み兼鑑賞会。氏持参のDVD『8時だヨ!全員集合』と『クラッシュ』、そして恒例のパトレイバーを2話(後期OVA)ほど観る。ドリフの全員集合、もぉ涙モノの懐かしさ。かあちゃん・コントにミイラ・コント、いや〜最高ですね。"動き"…

 『ウーマン・オン・トップ』

監督:フィナ・トレスペネロペ・クルスをハリウッド業界とアメリカ人に紹介するプロモーション映画、かどうかはともかく、ロマコメにしては脚本が今ひとつで、物語の展開も会話も面白味に欠けている。乗り物酔い、オカマの黒人、海の神イマンジャといった仕…

今日は久々に立川シネマ・シティへアニメ映画『イノセンス』を観てきました。「映画の日」だったせいか、かなり人が多く、窓口へ行ったとたん「立ち見になりますが宜しいですか?」の一言。はうぅぅ、やってもうたぁ!(泣)。上映館がキャパ97席しかないとこ…