『理由なき反抗』

監督:ニコラス・レイ

若者の無軌道な行動と漠然とした不安を描いた痛々しい青春映画。やっぱりニコラス・レイは凄い。ナイフ・ファイトやチキン・レースにおける空間演出の素晴らしさ、後半、3人の若者が広大な無人館で寂しく戯れる夜のシーンの濃密感にも興奮させられた。どこかチグハグな感じのする物語展開も、若者達の不安定な情感の機微を細かく捉える演出によって正当化されていく。初めは全く魅力的に見えないジェームズ・ディーンが、映画が進むにつれて、どんどん輝きを増していくのだから不思議だ。しかも、それは劇中で主人公が変化していく過程と見事にリンクしている。"存在の儚さ"というペシミスティックな若者心理の一面を象徴するかのように配置されている舞台装置、プラネタリウムと崖と巨大な廃館は、ある意味ジェームズ・ディーン以上に印象的だったかも。