2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

 『忘れじの面影』 ■■■■□

監督:マックス・オフュルス極上のメロドラマ。ジョーン・フォンテインの表情と声、ガラス窓と階段、馬車と市電、夜と雪、プラットホームでの2度の別れと白いバラの伏線、あらゆる装置あらゆるシーンが素晴らしく忘れ難い。

 『シャロンの屠殺者』 ■■■

監督:アンソニー・マンフォードの「騎兵隊三部作」のような軍隊モノでありながら、そこにヴィクター・マチュア扮する粗野で陽気な開拓者という異端が紛れ込む設定がユニーク。カスター将軍を思わせる頑迷な司令官を中心にした複雑な人間模様が、単純明快さ…

 『Tメン』 ■■■

監督:アンソニー・マン財務省諜報員の潜入捜査を描いた激シブのフィルムノワール。深い闇の中で、孤独と緊張感に包まれながら暗闘する諜報員の姿に英雄譚的な華々しさはない。ノワール的な舞台装置として頻繁に出てくるスチームバスのシーンに漂う倦怠ムー…

 『捨身の一撃』 ■■■

監督:ジョセフ・H・ルイス派手さはないけれど西部劇の魅力がバランス良く詰まっている見事な小品。床屋で髭をあたっているランドルフ・スコットが、前掛けの中から(デリンジャー銃で)殺し屋を撃つシーン、サルーンのスイングドア越しのガンファイトなどア…

 『ピクニック』 ■■■■■

監督:ジョシュア・ローガンこれはメロドラマの大傑作だ!一人の男(あるいは男の逞しい上半身)が女所帯の凡庸な生活に大きな波風を起こし、たった一夜の激しく濃密な恋の狂騒曲を奏でる。その主な舞台となる労働祭のシークエンスがとにかく素晴らしい。昼…

 『五月みどりのかまきり夫人の告白』 ■■

監督:牧口雄二ずっとソフトフォーカスだった画面が、最後、唐突に健康的な照明のパンフォーカスの画面となり、夫人は椅子の眠りから覚め、現実と幻想の境界線は曖昧化される。ソフトポルノ版の『昼顔』か。

 『ジェリー』 ■■■

監督:ガス・ヴァン・サント誇張と誤解を承知の上で本作を新世紀の西部劇であると断言してみる。「荒野の道」を彷徨する二人のジェリー、マット・デイモンとケイシー・アフレックはあてのない旅路の果てにソルトレイクへと辿り着き、ジョン・ウェインのよう…

 『アンダルシアの犬』 ■■■

監督:ルイス・ブニュエル戦闘的なスキャンダリスト・ブニュエルの面目躍如たる猛毒性の奇怪で卑猥な映像遊び。ブニュエルは冒頭で女性の目玉をカミソリで切る理髪師をクールに演じ、共犯者のサルヴァドール・ダリは修道士に扮してピアノと腐ったロバの死体…

『サウンド・オブ・ミュージック』の特典ディスクを視聴。

 『キス・ミー・ケイト』 ■■□

監督:ジョージ・シドニー物語はいたって平凡、キャスリン・グレイソン&ハワード・キールの主演コンビや、コール・ポーターの音楽もガツンとくるようなインパクトはない。特筆すべきはハーミーズ・パンの振付だろう。アン・ミラーの「It's Too Done Hot」(…

 『砂漠の鼠』 ■■

監督:ロバート・ワイズアクションよりも人間ドラマに重点を置いた戦争映画。ロケ撮影とスクリーンプロセスと本物のニュース映像を組み合わせた戦闘シーンがいかがわしくて良い(笑)。ロンメル演じるジャームス・メイスンもチョイ役ながらさすがの貫禄を見せ…

 『たたり』 ■■■

監督:ロバート・ワイズいかにも幸薄そうな顔(実際に不幸な身の上)をしたクレア・ブルームが、悪霊に魅入られてさんざん精神的な虐待を受ける映画。不可視の霊的存在を捉えることができずに宙をさ迷う視線が不安感を、極端なローアングルと俯瞰アングルの…

 『青の光』 ■■■■□

監督:レニ・リーフェンシュタールとてつもなく美しいメルヘン。全編に画面の直接的な力がみなぎっている。山の斜面と絶壁、空と雲のコントラスト、滝の垂直運動と水しぶき(本作で最も印象に残るイメージは滝かもしれない)が織り成す幻想的な自然美。レニ…

BS成瀬特集の『驟雨』と時代劇専門チャンネルで放送された三隅研次の『舞妓と暗殺者』を録り忘れ、ちょっと、いやかなりヘコんでいる。前者はDVD化、後者はアンコール放送に期待だろうか。

今日はバスケ&バレーを体育館で4時間半。夜はカルピスさん&キャゼルヌさんと酒&ゲーム。***********庭のマルメロの木になっていた実が熟する前に落ちてしまいました(画像右の実は病気のせいなのか下部が腐っています)。まだ木自体の成長が不十分なので…

 『サウンド・オブ・ミュージック』 ■■■■

監督:ロバート・ワイズ空撮で始まり空撮で終わるミュージカル。日記には記していなかったのですが、つい最近、アニメ世界名作劇場の「トラップ一家物語」(素晴らしかった)を観終わったばかりで、さあ次は久々に映画版を鑑賞だ、という流れになったわけな…

最近「のだめカンタービレ」という漫画にハマっている。

映画監督のロバート・ワイズが14日、心不全のためロサンゼルスの病院で死去。訃報を知る前日の夜に、奇しくも『サウンド・オブ・ミュージック』の前半部を鑑賞していたので驚きました。ホラー、SF、フィルムノワール、ミュージカル、戦争、メロドラマと、あ…

 『悪魔の発明』 ■■■

監督:カレル・ゼマン科学の功罪がテーマの幻想寓話。淡々とクールな映像演出とモノクロと精緻な背景美術が醸し出す重厚な雰囲気に、ささやかなロマンスとユーモアという軽やかさが違和感なく融合してしまうゼマン的混交の世界にはやっぱり惹かれてしまう。…

 『追跡』 ■■■

監督:ラオール・ウォルシュ復讐と愛憎、回想を軸にしたサスペンスフルな語り口、暗鬱な雰囲気、フィルムノワールを思わせる異様な西部劇。それだけに清楚可憐を絵に描いたようなテレサ・ライトの存在は特異であり際立っていた。照明によってくっきりと画面…

この日、日テレの「映画天国 チネ★パラ」という深夜番組で、アントニオーニの長編デビュー作『愛と殺意』(勿論未DVD化)が放送されました。この情報、夜になって初めて知ったのでまさにビックリ仰天。慌ててEPG予約をし、PCにキャプりました。これだから民…

 『日本侠客伝』 ■■■

監督:マキノ雅弘良質のプログラム・ピクチャー。血生臭い抗争劇でありながら、清々しい余韻が残る仁侠活劇。人物造形の巧みさと潔い死にっぷり。小気味良い演出(健さんがはっぴを羽織る、その素早い所作だけでワクワクしてしまう!)や、安定感バツグンの…

 『田舎の日曜日』 ■■□

監督:ベルトラン・タヴェルニエルノワールの系譜に連なる映画を撮ろうとして無残に失敗した映画。慎ましい物語やロケーションの素朴な美しさ、可愛らしい子役と味わいのあるベテラン俳優(特にイレーネを演じるサビーヌ・アゼマは素晴らしい)といった良い…

 『蒸発旅日記』 ■■

監督:山田勇男つげ義春というより単なる清順エピゴーネンという感じ。主役の銀座吟八もイマイチ魅力がない。見所は藤繭ゑのストリップ(ミュージカル映画のような画面繋ぎに思わず感動)くらいかも。秋桜子(コスモスコって^^;)という女優や、意味なく全裸…

朝日ホールのラング&ムルナウ特集は諸事情で行けないことに。残念極まりなし。

今日はバスケ&バレーを体育館で4時間。夜はNBAファイナル2005の録画ビデオを一試合観る。

今日はカルピスさんと公園でバスケ練習。夜はNBAファイナル2005の録画ビデオを一試合観る。

 『エルダーブッシュ渓谷の戦い』 ■■■

監督:D・W・グリフィス1913年の西部劇。既につなぎやクロス・カッティングやクローズアップやアイリス・イン&アウトなどの映画的手法が駆使されている。インディアンに襲撃された人々が、混乱と恐怖に陥って疲弊していく様がテンポ良くスリリングに描かれ…

 『大列車強盗』 ■■

監督:エドウィン・S・ポーター最初に作られた西部劇は犯罪活劇だった。興味深かったのはキャメラワークもモンタージュもまだ生まれてなく、すべてのシーンがフィックスなので、アクション描写がほとんどロングのワンショットになっているという点。強盗団が…

 『中国女』 ■■□

監督:ジャン=リュック・ゴダール過激でポップなアジ映画、あるいはゴダールによる左翼的ビルドゥングスロマン。思想をめぐる論議は時代臭がキツくて正直かなり退屈。大量の毛沢東語録を始め、過剰なまでの"赤"の氾濫が本作の特徴だけれど、しっかり真っ白…