『たたり』 ■■■

監督:ロバート・ワイズ

いかにも幸薄そうな顔(実際に不幸な身の上)をしたクレア・ブルームが、悪霊に魅入られてさんざん精神的な虐待を受ける映画。不可視の霊的存在を捉えることができずに宙をさ迷う視線が不安感を、極端なローアングルと俯瞰アングルの多用が圧迫感を増幅させる。また繊細な照明によって反射した豪華な調度品の数々が、複雑な光と陰影のコントラストを画面上に浮かび上がらせ、美しくも不気味な効果を生み出している。恐怖の装置としてのらせん階段や音響設計も見事だと思う。