『青の光』 ■■■■□

v-erice2005-09-20


監督:レニ・リーフェンシュタール

とてつもなく美しいメルヘン。全編に画面の直接的な力がみなぎっている。山の斜面と絶壁、空と雲のコントラスト、滝の垂直運動と水しぶき(本作で最も印象に残るイメージは滝かもしれない)が織り成す幻想的な自然美。レニ・リーフェンシュタールの被写体としての魅力も素晴らしい。村人から走り逃げる時の俊敏さ、断崖を登る時の緩慢さ、無防備に晒された足と胸元の官能性、欲望とエモーションのクローズアップ(グリフィス!)。セリフを極力排したショット主義の映像スタイルは、これがデビュー作とは思えないほどに洗練されていて、レニ・リーフェンシュタール映画作家としての資質の高さ、豊かな映画的才能が鮮やかに見て取れる。彼女の映画をもっと観てみたかった。