2003-09-01から1ヶ月間の記事一覧

 『彼岸花』

小津週間・二夜目。監督:小津安二郎娘の結婚をめぐる家族の悲喜交々。今や貴重とも言える封建的な父親像がストレートに、滑稽さを伴って明るく描かれる(亭主関白丸出しの佐分利信が娘の相手を恋敵のようにやっかむ姿が可笑しい)。キャスティングが絶品で…

 『東京物語』

今夜から小津週間と題して小津箱を賞味していきたいと思います。監督:小津安二郎映画、その一つの究極を観たような、とてつもない衝撃を受けてしまった。老いた両親が上京して、子供たちに会い、小さな温泉旅行に出かけ、帰り、そして死んでいく。ただ、そ…

 ブックオフで捕獲した中古銀盤

『SUPER 8』(初回版)『ヘカテ』『天国の日々』

 『ノー・マンズ・ランド』

監督:ダニス・タノヴィッチボスニア紛争を素材に戦争そのものの本質を見事に寓話化してみせた黒い笑いと怒りの戦争ドラマ。塹壕における兵士の止めども無いやりとりは戦争に対する痛烈な皮肉に満ちている。兵士の下に置かれた決して解除されることのない地…

 『雨上がりの駅で』

監督:ピーター・デル・モンテロードムービー風味のほろ苦い人間ドラマ。全体に流れる淡々とした静かな雰囲気が同じイタリアのエットーレ・スコラの作風を思わせて好感が持てる。悩めるヒロイン演じるアーシア・アルジェントが魅力的。一癖ある美人顔。ミシ…

 新たに増えた銀盤

『The Big O (Collector's Edition)』(北米盤)『小津安二郎 DVDBOX 第一集』『過去のない男』 まずは「The Big O」。ロボットアニメです。絵の雰囲気が横山光輝テイストなところに惹かれました。ファーストシーズン全13話収録の4枚組み仕様でお値段なんと4…

 『転校生』

監督:大林宣彦『廃市』と共に私的ベスト大林映画の双璧をなす作品。荒唐無稽なSF的発想を用いて、心と体のバランスが不安定な思春期というものを鮮やかに捉えて見せた青春映画の金字塔。何と言っても圧倒的に素晴らしいのが尾美としのりと小林聡美の演技だ…

 『R.O.D - Read or Die』

面白かったので全3話一挙に視聴。内容的には"オットリした『ジャイアント・ロボ』"という感じ。ヒロインが東京神田に住んでいる愛書狂という設定が笑える。ディテールの細かい作画、キャラ造形の巧さ、アクション演出と音楽もなかなか良い。絵と音が見事にシ…

 アメリカから荷が到着。

『R.O.D. - Read or Die』

 『戦場のピアニスト』

監督:ロマン・ポランスキー全壊したワルシャワの街を彷徨する主人公。凄まじい生への執着。その姿に大国に陵辱され翻弄され続けてきたポーランドの歴史そのものが重なる。エイドリアン・ブロディの感情を抑えた演技が放つ凄味、ジャムを舐めた時の表情も忘れ…

 『猟奇的な彼女』

週末は2本観る。監督:クァク・ジェヨン漫画チックな濃ゆ〜いキャラ造形で大いに笑い、呆れ、涙してしまう爽快なラブコメ。全編を貫く開き直ったような陳腐な展開が良い。ヒロイン役チョン・ジヒョンの表情七変化がキュート。韓国の女優は表現力がとても豊か…

 『座頭市』

今夜は立川に映画を観に行く。監督:北野武タイトルは『北野武の座頭市』にするべきだった?それくらいオリジナルとは似て非なる作品だ。その破壊ぶりは徹底している。市は按摩師で居合いの達人という設定以外はまったくの別物。何とも不気味な存在で、主人…

 『NY市長ジュリアーニ 怒涛の日々』

監督:ロバート・ドーンヘルムさすがアメリカ。卒のない政治ドラマに仕上がっている。ジュリアーニの半生と悪夢の9・11をカットバックで小気味よく描き出す。ジェームズ・ウッズも余裕シャクシャクの演技。巧い。額の存在感がナイス(笑)。市長としての活躍よ…

 『わが谷は緑なりき』

監督:ジョン・フォード力強さと繊細さが見事に調和したホーム・ドラマの大傑作。ワンカット、ワンカットが本当に美しい。炭鉱と坂道と家並、歌、光線、吹雪、風、黒煙、山川、鉱夫たち・・・あらゆるものがフォードの魔術によって輝きを放つ。そして母親役…

 『ウディ・アレンのバナナ』

監督:ウディ・アレンマルクス兄弟やチャップリンへ無邪気なオマージュを捧げつつ、ナンセンスでかつブラックな笑いの波状攻撃でもってアメリカ文化を、革命を、恋愛を軽快に皮肉ったアレン的イケイケ・コメディ。若き日のスタローンがチンピラ役でちょっと…

 『アザー・ファイナル』

連休中に観た映画は2本。監督:ヨハン・クレイマーサッカーW杯決勝の陰でひっそりと、しかしW杯にも負けない熱気と誇りを持って最下位決定戦に挑む人々がいた。この粋な企画を思いついたのは予選で敗退したオランダのCM監督。世界のどこへでも跳ねて転がって…

 新たに増えた銀盤

『ライトスタッフ スペシャル・エディション』 本編が193分もある作品ですが、特典映像も計169分あるというまさに超怒級の銀盤。銀のジャケットが格好良いです。本編の方はかれこれ3回(LDで)は観ているのでまずは特典ディスクから賞味することにしました。…

 『レ・ミゼラブル』

監督:ピレ・アウグスト久々に再見。駆け足のストーリー展開で文芸ドラマにしては落ち着きがなさすぎるかも。とはいえキレのある演出とキャスティングの素晴らしさで十分に楽しませてくれる佳作だ。本作は"顔"の映画と言える。ニーソンとラッシュの絶品なる…

 『なごり雪』

監督:大林宣彦郷愁、感傷、哀愁の三重奏と、まさに大林映画の王道をゆく、切なさ120%のドラマ。相変わらず体がむず痒くなるような気恥ずかしい演出と台詞回しだけれど、観ている内にだんだん、その独特ともいえる大林ワールドに惹き込まれてしまうから不思…

 『アレックス』

監督:ギャスパー・ノエ消火器で砕き潰されていく人間の顔、無感情にレイプを傍観する長回しの固定キャメラ。暴力が如何におぞましく凄惨なものかを脳裏に焼き付かせる映画だ。点滅する文字、薄暗く荒い粒子の映像、揺れ動き、大きく傾くキャメラ、あらゆる…

 『ブローニュの森の貴婦人たち』

監督:ロベール・ブレッソン室内の絵画的な構図と光の繊細な射し込みが美しい。ほぼミドルとロングのショットだけで人物を捉えながら、動きの少ない所作と表情で内面感情の微妙な機微を浮き彫りにしようとする奥ゆかしい演出がブレッソン特有の格調を生んで…

 『ゴーストワールド』

監督:テリー・ツワイゴフ面白い。こういう脇道にそれた青春映画の方がアメリカ文化のリアルな側面が垣間見えて好きだ。台詞も捻りがあるし、一歩下がった位置から眺めるキャメラの冷めた視線も良い。風景の切り取り方がどこかジャームッシュを彷彿とさせる…

 『マンハッタン』

監督:ウディ・アレン「ラプソディ・イン・ブルー」と共にマンハッタンの情景が次々と現れるOP、ブルックリン・ブリッジとベンチのショット、ソファに寝そべりながら苦い顔で「僕の好きなもの」を挙げ連ねていくアレン。毎度お馴染み、虚と実の区別が判然と…

 『荒野の決闘』

監督:ジョン・フォード冒頭の「オ〜マイ・ダーリン、オ〜マイ・ダーリン、オ〜マイ・ダ〜リン・クレ〜メンタ〜イン」で早くも目がウルウル(笑)。自分にとって最も美しい西部劇と言えばこれ。開拓時代の空気感や匂いが漂ってくるような素晴らしいショットの…