『アレックス』

監督:ギャスパー・ノエ

消火器で砕き潰されていく人間の顔、無感情にレイプを傍観する長回しの固定キャメラ。暴力が如何におぞましく凄惨なものかを脳裏に焼き付かせる映画だ。点滅する文字、薄暗く荒い粒子の映像、揺れ動き、大きく傾くキャメラ、あらゆる演出が観る者を不快に不安に陰鬱にさせていく。原題の意味は「不可逆」。過去へと遡っていくトリッキーな構成が、やり直しのきかない「時」というものの残酷さをより一層際立たせている。映画的なカタルシスなど一切無いあまりにもヘヴィな作品。モニカ・ベルッチ嬢の裸目当てで借りたらエライ目にあってしまいました。ぐすん。