『中国女』 ■■□

監督:ジャン=リュック・ゴダール

過激でポップなアジ映画、あるいはゴダールによる左翼的ビルドゥングスロマン。思想をめぐる論議は時代臭がキツくて正直かなり退屈。大量の毛沢東語録を始め、過剰なまでの"赤"の氾濫が本作の特徴だけれど、しっかり真っ白な壁に青い扉を配してトリコロールになっている。ただ、映像よりもむしろクリトフ・カステルの打楽器や、ジェラール・ユーグの「マオ・マオ」といった音楽の方が印象的だったかも。そしてジャン=ピエール・レオーの無表情はやっぱり素晴らしい。ところでアンヌ・ヴィアゼムスキーと哲学教授が電車の中で対話するシークエンス。これって『10ミニッツ・オールダー イデアの森』のクレール・ドニ作品『ジャン=リュック・ナンシーとの対話』がまるごとパロディしてません?まあそれはともかくとして、観終わった後、古くてカチカチのフランスパンをナイフで切り、クリームチーズをたっぷり塗って、それをコーヒーに浸しながら食べてみたくなりましたねぇ(笑)。