『田舎の日曜日』 ■■□

監督:ベルトラン・タヴェルニエ

ルノワールの系譜に連なる映画を撮ろうとして無残に失敗した映画。慎ましい物語やロケーションの素朴な美しさ、可愛らしい子役と味わいのあるベテラン俳優(特にイレーネを演じるサビーヌ・アゼマは素晴らしい)といった良い要素が、せわしなく左右(時には上下)にパンし、前後にも動く、あまりにも品のないキャメラワークによってすべて台無しになってしまっている。"せせこましい田舎の日曜日"なのだ。心地良い退屈さによって生み出される豊かな映画的時空間がこの作品にはない。うろ覚えだけれど、ゴダールはこんな言葉を言っていたと思う。「パンとは倫理の問題なのだ」。