『エルダーブッシュ渓谷の戦い』 ■■■

監督:D・W・グリフィス

1913年の西部劇。既につなぎやクロス・カッティングやクローズアップやアイリス・イン&アウトなどの映画的手法が駆使されている。インディアンに襲撃された人々が、混乱と恐怖に陥って疲弊していく様がテンポ良くスリリングに描かれていき、リリアン・ギッシュ(か弱い彼女が、更に赤子と子犬という弱者を抱え込むことで、感情移入の度合いは否が応でも高まってしまうのだ)の頭上に銃口が向けられるサスペンス溢れるショットから一挙に収束へと向う(ラスト・ミニッツ・レスキュー!)構成が痛快。この作品を踏襲し、もう一捻り加えたのがフォードの『駅馬車』だったのかと感慨しきり。

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上記の西部劇2本は「The Great Train Robbery: 100th Anniversary Edition」という北米盤に収録されています。この盤には他にもキング・バゴットの『TUMBLEWEEDS(曠原の志士)』('25)や、日本未公開の『THE HEART OF TEXAS RYAN』('17)が収録されています。価格は約20ドル。お買い得だと思います。しかも『大列車強盗』は白黒サイレント版と音楽&効果音付きの着色版の2種類が選択できるのが嬉しいですね。画質は製作年代の古さを考えるとむしろ良い方かもしれません。