『シャロンの屠殺者』 ■■■

監督:アンソニー・マン

フォードの「騎兵隊三部作」のような軍隊モノでありながら、そこにヴィクター・マチュア扮する粗野で陽気な開拓者という異端が紛れ込む設定がユニーク。カスター将軍を思わせる頑迷な司令官を中心にした複雑な人間模様が、単純明快さとは正反対の不健全なドラマを形作っていくあたりは如何にも50年代の西部劇といった趣きで興味深い。落とし穴や屋根といった高低差が生じる場所での会話とアクション、木に登ったマチュアが地面に伏せる大勢のインディアンを背後から眺める俯瞰ショットもマンならではの意匠だ。インディアンたちとの決戦シーンも素晴らしい迫力で、舞い上がった砂煙が人馬をすっぽり包み込んでしまう様は圧巻だった。ただ強引かつ楽観的すぎる結末は画竜点睛を欠いている感なきにしもあらず。紅一点アン・バンクロフトの硬質な美しさが光る。

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盤質。画質は中程度。S/Nと発色がいまいち。リージョン1表記のALL仕様です。日本語字幕付き。