『ファニーとアレクサンデル』(3時間版)

監督:イングマール・ベルイマン

5時間版に比べると、さすがに物足りなさを感じてしまう。親権をめぐる激しい口論が延々と続くシーンのカットは、まあ時間的に仕方がないとしても、プロローグの後半部が抜け落ちているのはちょっと納得がいかない。あの日常から非日常になっていく濃密な時間と空間の演出、その魅力が編集によって半減してしまっている。とはいえ、作品の吸引力はいささかも変わりがなく、3時間があっという間だった。会話の面白さ、美術の素晴らしさ、俳優の巧さ、映像の力強さ、本当に贅沢な映画。