『生きものの記録』

監督:黒澤明

反核をテーマにした寓話性の強いドラマ。三船敏郎がすごい老けメイクで被害妄想にとりつかれた家父長をエネルギッシュに演じている。第五福竜丸に想を得て撮られたそうだが、北朝鮮の脅威に晒されている今の日本の状況を考えると、かなり今日的な作品と言えるのかもしれない。廊下に横並びで座る家族の面々や、室内における家族会議など、随所でパン・フォーカスが効果的に使われている。主な舞台となる工場のセットも素晴らしい。それにしても黒澤明の演出はバタ臭いなぁ。