『人間は何を食べてきたか 第3巻』

新シリーズ「アジア・豊かなる食の世界(1)」がスタート。今回は「麺」「カレー」「タロイモ・ヤムイモ」の3編です。麺発祥の地といわれる中国・北西部の雑穀を使った麺作り(土地が貧しく、水が貴重なために小麦の麺は年に数回しか食べられない)。豊かなスパイスに彩られたカレーの世界(インドという国の複雑さは食文化にも見事に反映されている)。台湾南方の島に住む少数民族ヤミ族の水田によるイモ栽培。この水田風景は日本の田圃そっくりで、かつて稲作が根付く前に日本でも同じようなイモ栽培が行われていたことを偲ばせます。その根拠として、日本の各地に今も受け継がれているイモを祀る儀式の映像が紹介されていきます。パプアニューギニアの先住民のヤムイモを使った祭りの様子も興味深かったですね。イモに豚の肉を挟んで、地中で蒸した特別料理がすごく美味しそうでした(それを食べる先住民の人たちの表情が、また何とも素晴らしいんです)。こういうのを見てしまうと、今の自分は食ベ物に対する感謝の念や、食べることの純粋な喜びを忘れてしまっているのかなぁと思えてなりません。単純に食欲を満たしているだけなんですよね。