『幕末太陽傳』

監督:川島雄三

乾いた質感と軽味、リズムカルでスピーディな会話が心地良い異色時代劇。遊郭というちょっといかがわしい空間が実に鮮やかな舞台装置として機能している。多彩なキャラクターも魅力的で、中でも主役の佐平次を演じるフランキー堺のパワフルで粋な立ち回りには目が離せない。まさに絶品。終始笑みを絶やさないが、そこには常に労咳という暗い翳がさしていて、それが本作をコメディでありながらもシニカルな雰囲気にしている。ラストは爽やかながらもどこか切ない後味を残す。