週末は友人から借りた北野武の『座頭市』を観る。ん〜やっぱり武の演じる座頭市は薄っ気味悪いですね。非人間的で、ほとんど殺人ロボット(ハスミンは宇宙人と評したそうですが)。とてもじゃないですが、武の市を「市っつぁん」と親しみを込めて呼ぶことはできません(笑)。そして盲目の演技(?)と目の秘密。こういった造形は、あまりにも勝新を意識しているが故の苦心のアイディアだったのかもしれませんね。中途半端に真似るより、いっそ小気味良いとは思うのですが、それにしても大胆です。まぁこれも北野監督一流の照れ隠しなんでしょう。ところで、この作品は殺陣が話題になりましたが、殺陣自体の出来はそれほどでもないと思います。つまり人間の動きそのものの魅力ではなくて、巧みな編集の技術とエフェクトが、格好良いチャンバラを生んでいるんですよね。勝新座頭市が、あくまで人間主体による殺陣だったのとは、ここでも対照的になっています。あとは、何と言っても北野映画北野映画たる所以である独特の編集と構成。映画を数多く観ている人ほど「アレ?」と首を傾げたくなるような、妙に不安にさせられる「ヘンさ」は微弱ながら健在です。