『田舎司祭の日記』 ■■■□

監督:ロベール・ブレッソン

ブレッソン生涯のテーマとも言える"受難"を描いた人間ドラマ。まだ後年の息が止まるような映像スタイルの厳格さはないが、現実世界に対する即物的な正確なリアリズムの描写は既に遺憾なく発揮されている。冷たいエロスが漂う女性たち。圧倒的な絶望と孤独と静謐を湛えたクロード・レーデュの瞳が素晴らしい。ただカトリシズムの香りが濃厚で、ピンとこない部分があることも確かだ。