『Desperate』 ■■■□

監督:アンソニー・マン

夜の人々』や『拳銃魔』といった犯罪が絡んだ男女の逃避行(しかもヒロインは妊婦なのだ!)を描いたRKO時代のマンの低予算フィルムノワール。夜間シーンの占める割合はあまり高くないのだが、主人公のスティーブ・ブロディがギャングに殴られた勢いで激しく揺れた天井の裸電球がギャングの姿をせわしく明滅させるシーンや、検問を通過するトラックの荷台に積まれた人形を不気味に照らす照明など、魅力的なノワールルックは少ないながらも出てくる。それに何と言っても最後の対決シーンが良い。濃い陰影が支配するアパートメント内、主人公とギャングの親玉が階段の上と下に分かれて撃ち合いを演じるそれはまさに後年、マンが西部劇で幾度となく描くことになるクライマックスのスタイルと同じだ。そしてギャングはハリウッド犯罪ドラマの法則にのっとって見事に落下するのである。

***********

盤質。画質は並程度。音声はオリジナル英語音声とイタリア語吹替え音声。字幕はイタリア語のみ(オン・オフ可)。特典なし。