『ドカベン』 ■■□

監督:鈴木則文

柔道メイン(笑)。もう完全にお笑いコントの世界でハチャメチャなんだけど、ローテク特撮による漫画チックな表現の数々にはノスタルジックな趣きがあって微笑ましい。線路の上を歩く子供たちを望遠レンズで捉えたロングショットが印象に残る。あと山田太郎のライバル(柔道の)の妹が何の伏線もなくいきなり死んでしまい、そのことが試合中に突然大写しになる彼女の遺影によって判明するという展開にはギョッとさせられた。山田太郎が竹刀で延々と打ち据えられるシーンも何気にエゲつない(打ち据える方が疲労して最後に泡を吹きながらぶっ倒れるのだ!w)。この時代の邦画(鈴木則文は特に)はとにかくイイ加減で過激で過剰なのが魅力的なんである。柔道部と反目する運動部の連中がどう見ても高校生ではなくヤクザのチンピラ(まんま東映ヤクザw)にしか見えないのも素敵だ。ちなみに本作の主人公は山田ではなくイワキである(キャラ立ちしすぎ)。原作版とは似ても似つかないけど妙に味わいのある川谷拓三のトノマもチョイ役ながら忘れ難い。最後に原作者の水島新司が新任監督として登場(H氏曰く「あぶさん」スタイル)し、新生野球部の選手たちに千本ノックを浴びせて映画は終了。この時、本物の高校野球の甲子園の映像がカットバックされるのが違和感バリバリで可笑しかった。まあ珍作には違いない。

ドカベン [DVD]

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