『マジック・ランタン・サイクル』 ■■■□

監督:ケネス・アンガー

収録された9本(同一タイトルのショートverを含めると10本)の作品いずれも刺激的だったが、とりわけ魅了されたのは『PUCE MOMENT』『EAUX D'ARTIFICE』『KUSTOM KAR KOMMANDOS』『SCORPIO RISING』。この4本は単にインパクトがあるだけで見終わったらたちまち霧散してしまうような凡庸な前衛映画とは違い、何度もその映像に浸りたいと思わせる魔力めいたものが感じられた。『FIREWORKS』で水兵のペニス(勿論そのものが映っているわけではない)が打ち上げ花火に変わるシーンも強烈で、1940年代にこんな大胆なゲイ表現を映画でやっていたとは驚きである。コクトーファスビンダー(『ケレル』の水兵は『FIREWORKS』へのオマージュなのだろうか)が熱狂したのも頷ける。リンチへの影響も絶大なものがありそうだし、テリー・ギリアムなども相当にリスペクトしてそうだ。

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盤質。画質良好。ブルーレイならではの解像度&発色で濃厚な色彩美を堪能できる。UK盤だがリージョンALL。特典には『The Man We Want to Hang』(2002年作品)、レストアのデモ映像、ケネス・アンガー本人による録り下ろしのコメンタリー収録。ドキュメンタリー『Anger Me』が収録されたDVD(注:PAL)と特製ブックレット(36P)も付く。