『ゾディアック ディレクターズ・カット』 ■■■

監督:デヴィッド・フィンチャー

派手さも重厚さもなく淡々と事件の推移を追っていく構成なのだが、始まりから緊張の糸は緩むことなく持続し続け、160分超という尺の長さを感じることはなかった。演出や映像の見事なんだけれど、その見事さが当たり前のように表現されている職人的洗練さが見ていて心地良かった。キャメラが美しい。撮影監督のハリス・サヴィデスは不勉強にも知らなかったのだが、後で調べたらガス・ヴァン・サントと数多く仕事をしている人だと分かり大いに納得した次第。俳優ではゾディアック事件唯一の容疑者アーサー・リー・アレンを演じたジョン・キャロル・リンチの善人にも狂人にも見える不気味な佇まいが素晴らしかった。で、この人と言えば『ファーゴ』のフランシス・マクドーマンドの夫がどうしたって頭に思い浮かぶ。映れば寝てるか飯食ってるかっていうお茶目な人物だった。『ファーゴ』はUK盤ブルーレイを買ってあるので今度久しぶりに見直そうかな。

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盤質。UK盤ブルーレイ。VC-1コーデック&ドルデジ音声のみという残念仕様だが、DVDのアプコンでも満足できる自分にとっては画質も音質も十分なレベル。日本語字幕付き(日本語吹き替え音声は無し)。特典映像てんこ盛り(こちらも日本語字幕対応)。