『トラ・トラ・トラ!』 ■■□

監督:リチャード・フライシャー舛田利雄深作欣二

日本公開版を視聴。真珠湾奇襲シークエンスが本作の魅力のほぼ全てと言って良いと思う。つまり「これはスペクタクルではない悲劇だ」という黒澤明の理念とは正反対の映画になっている。人間ドラマの部分は淡白で無難な仕上がりでしかないという感じ。艦載機が赤城から発艦するシーンの朝焼け逆光の美しさ、巨大な黒煙の中から次々と現れるゼロ戦21型などが特に印象的だった。特典映像の『トラ・トラ・トラ』製作秘話の中でエルモ・ウィリアムズが「クロサワが実業家の素人俳優ばかりを起用したのは、次回作の資金調達が狙いだった」みたいな発言をしていたが、もちろん単なる憶測であって事実ではないだろう(『黒澤明VSハリウッド』でもこの話は一切出てこない)。UK盤ブルーレイだが、中身は国内盤『トラ・トラ・トラ!完全版』と同じもの。ちなみに国内盤は4千円近くするが、UK盤は2千円ちょっとで買える。