『トウキョウソナタ』 ■■■■□

監督：黒沢清

素晴らしい。相米慎二の『お引越し』以来の衝撃的なホームドラマだ。後半の家族の崩壊から再生までの、日常的リアリズムにこだわる是枝裕和のホームドラマとは対照的な、映画的いかがわしさと躍動感が溢れる語り口には圧倒されっぱなしだった。黒沢清のホームドラマが普通に納まるわけないのである。『風の中の牝鶏』の田中絹代の階段落ちが突如再現されてしまうシーンには思わずニヤリ。抑制の効いた美しいラストシーン。今までドビュッシーの「月の光」で思い出す映画と言えばオリヴェイラの『アブラハム渓谷』か岩井俊二の『リリィ・シュシュのすべて』だったが、『トウキョウ・ソナタ』も加えなければなるまい。視聴ディスクはUK盤ブルーレイ。EUREKAの「マスター・オブ・シネマ」シリーズの一枚。リージョンはALL。画質、音ともに良好。特典は約1時間のメイキング、日本での公開初日の舞台挨拶と質疑応答、予告編。

トウキョウソナタ [DVD]