『かれらに音楽を』

監督:アーチー・L・メイヨ

貧しい不良少年が名ヴァイオリニストの演奏を聴いて音楽に興味を持ち、温かく招き入れてくれた資金難に苦しむ音楽教室を何とか存続させようと奮闘する様を描いた音楽映画。内容的には如何にも古き良きハリウッド時代の教育映画、といった感じ。ヤッシュ・ハイフェッツの超絶技巧が、ミドル&手元アップ、さらに俯瞰ショットで堪能できるのが大きな魅力になっている。一時期夢中になって聴いていた「RCA RED SEAL BEST100」のCD「ツィゴイネルワイゼン」に収録されていたカミーユ・サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ OP.28」が冒頭のコンサート・シーンで演奏される。精密機械のような指の動きにお口あんぐり。それと忘れ難い映像が二つ。演奏を見つめる少年の表情と、家出をした少年が路上でホットドッグをほおばる場面。映画の神は細部に宿る。