『熊座の淡き星影』

監督:ルキノ・ヴィスコンティ

近親相姦を扱った家庭悲劇。「死にゆく街」ヴォルテッラの寂寞とした風景、閑散とした大邸宅が醸し出す頽廃的な雰囲気は、古典劇を題材にした愛憎物語の舞台にぴたりとマッチしている。独特の空間・構図の美を感じさせるロングショットや、白黒のコントラストを強調した映像も地味ながら見応え十分。健康的で肉感的な肢体とは裏腹に、終始、陰鬱な表情と鋭い眼差しで苦悩するクラウディア・カルディナーレが良い。破滅的な弟を演じるジャン・ソレルデカダンな魅力がある。最後のシークエンスは圧巻。まさに映画編集の醍醐味ここにあり、という感じ。いやはや脱帽。