『おっぱいとお月さま』

監督:ビガス・ルナ

「母性とはおっぱいである!」と声高に主張するビガス・ルナ。母乳を欲する口唇崇拝の少年、体を欲する性器期の青年、性的不能だが"おなら"の特技(性倒錯のメタファー?)を持つ中年、この3人がエストレーリャという1人の女性をめぐって対立する物語は、いびつなセックス・ロマンスであり、人間のエロスの形態を象徴する寓話でもある。この古めかしいフロイト的な精神分析が、舞台となる南スペインのローカルな雰囲気と相俟って、本作を悪趣味すれすれのお茶目なヘンタイ映画にしている(と思う^^;)。性を堅苦しくなく、あくまでも楽天的な大らかさで描くところがビガス・ルナの魅力だ。そして当然のことながらマチルダ・メイのおっぱいが素晴らしい。彼女が爽やかに微笑みながら母乳をピューっと勢いよく飛ばすシーンでは不思議な感動に襲われてしまった(笑)。