『ローラーとバイオリン』

監督:アンドレイ・タルコフスキー

微笑ましくも切ない少年と青年の友情。ローラーとバイオリンという組み合わせは、社会格差に対するタルコフスキーの悲観と楽観の交錯を象徴しているのだろうか。アスファルトと資材置き場を、水と光だけで詩的な空間に変えてしまう繊細な映像感覚はさすがの一言。「少女とリンゴ」というタイトルを付けてしまいたくなるような音楽教室でのサスペンスフルでユーモラスな一場面も素晴らしい。ビャチェスラフ・オフチンニコフによる寂しげな旋律のオルガンも忘れ難い。45分間の淡き夢。