『黄金時代』 ■■□

監督:ルイス・ブニュエル

いけしゃあしゃあと奇妙なイメージが積み重ねられていく毒性のある猥褻な幻想タペストリー。サソリの生態観察、骸骨と化してしまう大司教たち、子犬と盲人を蹴飛ばし甲虫を踏み潰す男、ベットの上の雌牛、鏡に映る空と雲、お互いの指を恍惚の表情で咥えるように愛撫し合う男女、赤子のように彫像の足指をしゃぶる女、血だらけの顔で愛をささやく男、天井に張り付く老人、窓から投げ捨てられる羽毛、燃える木、大司教と杖、キリンの剥製、キリストに扮したブランジ公(サドの『ソドムの百二十日』!)と太鼓の連打音と少女の悲鳴。いや〜強烈、お蔭様で理性は完全に麻痺してしまったらしく、最後はどこか清々しくさえありましたね(笑)。さすがは元祖"映像のアナーキスト"、本作を観てブニュエル鈴木清順の心の師であることを確信しました。ちなみにパーティ・シーンではマックス・エルンストやピエール・プレヴェール、ビクトル・ユゴー夫人がカメオ出演しています。