『欲望の谷』 ■■■

監督:ルドルフ・マテ

遠くに冬山が見える北方の西部劇。婚約者がいるグレン・フォードが大地主の横暴に対して尻込みする姿は『真昼の決闘』のゲイリー・クーパーのように歯痒いのですが、それが地主側の不穏な人間関係によって西部劇らしい復讐と対決のドラマへと状況が変移していくところに本作の面白さがあります。バーバラ・スタンウィックの悪女っぷりが素晴らしいですね。グレン・フォードは完全に食われちゃってます(笑)。燃えさかる屋敷の中、エドワード・G・ロビンソンの松葉杖を階下に放り投げる時に見せる不気味な笑みなんて最高でした。その直後、逃げ走る彼女を捉えた移動撮影も良いですね。馬と牛の大群が激しく砂塵を巻き上げながら荒野を疾駆するシーンもなかなかの迫力。ちなみにルドルフ・マテは監督としてよりも、ドライヤーの『裁かるゝジャンヌ』、ヒッチコックの『海外特派員』、ルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』などを撮ったキャメラマンとして有名な人です。

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盤質。S/Nは普通、解像度と発色は良好です。ソニー・ピクチャーズ北米盤には日本未発売の西部劇のDVDが沢山リリースされています。しかもそれらは全てリージョンALLで日本語字幕付き!いや〜日系企業万歳って感じでしょうか(笑)。今後もどんどん購入していこうと思っています。