『去り行く男』 ■■■□

監督:デルマー・デイヴィス

見事なメロドラマ西部劇。カラーでありながらフィルムノワールのような陰影の濃いライティングが物語の悲劇性をより鮮明にイメージ化している。随所に叙情的な甘い描写が見られるのも特徴で、中でもモルモン教徒の娘とグレン・フォードが絡むところはいわゆる普通の西部劇とはまるで違う独特の雰囲気を醸し出している(キス・シーンの美しいこと!)。アーネスト・ボーグナイン演じる快活な牧場主や、ヴァレリー・フレンチの妖婦ぶり、ロッド・スタイガーの屈折した厭らしさなど人物造形も実に魅力的。チャールズ・ブロンソンがチョイ役ながら良い味を出している。傑作だと思う。

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画質はそこそこ。リージョンALL仕様。アナモ収録。日本語字幕付き。