『Raw Deal(ひどい仕打ち)』 ■■■

監督:アンソニー・マン

逃亡と復讐のフィルムノワール。冒頭、不気味な静寂から大袈裟な照明効果と音響による脱獄シーンのまったく見事な演出と画面造形。暴力描写は直接的な表現がないにも関わらずローキーと極端なあおりと人物の表情がショッキングな効果を出している。79分という尺、ロケの多用、シンプルなセット、ミニマルな物語とまさに低予算映画。しかし、作品の味わいたるや実に贅沢なのだ。

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盤質。古いマスターなので画質はあまり良くありません。音も同様。ただマンのフィルムノワールは『夜歩く男』しかDVD化されていないので購入する価値はあると思います。何せカップリング仕様で約1,500円というお得さ。高かろう悪かろうな○ュネス企画とはエライ違いです(^^; それと英語のヒアリングが不十分でも字幕を追わずに画面に集中できる分、映像演出や俳優の演技を存分に堪能できるというメリットがあります。ヌーヴェルヴァーグのシネアスト達もシネマテークで仏語字幕がないアメリカ映画を観まくってショットそのものを目と体に刻み込んでいったんですよね。ちなみに『Raw Deal』はシュワちゃん主演の映画『ゴリラ』の原題と同じですが両者に繋がりはありません。