『イースター・パレード』 ■■■□

監督:チャールズ・ウォルターズ

フレッド・アステア円熟のタップが堪能できるミュージカル。勿論ジュディ・ガーランド(彼女のコメディエンヌとしての魅力を改めて認識)とのダンス・パフォーマンスも絶品なのですが、何と言っても素晴らしいのは「Drum Crazy」と「Steppin'Out with My Baby」のソロタップです。後者のスローモーションを使って異化された映像がユニークですね。画面奥で踊るエキストラがスローではない(つまりスクリーン・プロセスによる合成?)ので、何か異様な不思議な味わいがあります。アン・ミラーの「Shakin' the Blues Away」も本作の大きな見所。情熱的で躍動感溢れるタップの迫力には圧倒されます。黄色と黒のコントラストが映えるセクシーな衣装、連続ターンする箇所のやや俯瞰気味のキャメラワークが良いんですよねぇ。ちなみに当初はジーン・ケリーがアステアの役を、シド・チャリースがアン・ミラーの役を演じる予定だったのが、二人とも事故による怪我で降板し、その結果、映画のタイトルに呼応するかのように一人のスターが復活し一人のスターが誕生したのです。

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盤質。解像度、発色ともに良好。本作のウリの一つである色彩感覚豊かな衣装の数々が鮮やかです。ただ国内盤は2枚組みだった北米盤と違い、1枚組みで特典映像が少ないのが残念ですね。