『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!』 ■■■□

監督:アレクサンダー・ペイン

学園選挙のドタバタを描いた異色の学園コメディ。デビュー作でもアレクサンダー・ペインはしっかり郊外にこだわっていてニヤリとさせられる。造成中の丘をロングで捉えたショットが印象的。それと彼の映画に出てくる人物はみんな顔がヘンなのが良い。主要キャラの中では唯一まともな顔をしているジェシカ・キャンベルでさえも歯にはブレースが付いている(しかもレズビアン)。映像演出も面白い。画面分割(『サイドウェイ』では漫画のコマ割りみたいな細かい画面分割がある)やワイプやスクリーン・プロセスやコラージュ風の合成といった古典的な技法が遊び心いっぱいに使われている。この監督、かなりの映画マニアなんじゃないだろうか。そう言えばジェシカ・キャンベルが発電所の煙突を遠くに眺めながらボンヤリ地べたに坐っているショットは、小津の『一人息子』を想起させなくもない(如何にもシネフィル的なこじつけ^^;)。終盤は意外な展開となり、最後は綺麗にオチる。邦題は酷いけれど完成度の高い映画です。蛇足ですが、教師ジム・マキャリスターが乗る車には、エンジン始動と共に自動でシートベルトが装着される機能が付いていて妙に感動しました。