『マカオ』 ■■■□

監督:ジョゼフ・フォン・スタンバーグニコラス・レイ

序盤、ロバート・ミッチャムとジェーン・ラッセルが出会う船上シークエンスが抜群に良いですね〜。ハイヒールを投げ、ストッキングを落とすことで無意識的にミッチャムの気を引いてしまうジェーン・ラッセルの緩急のアクション(彼女は後に化粧瓶やハサミも投げ付けることになる^^;)。クレジットされてはいませんがニコラス・レイが撮った部分もかなりあるという本作。淡い光と影のコントラストや異国情緒溢れるマカオの描写などはいかにもスタンバーグらしい映像感覚という感じですが、後半のローキー主体の画面造形やサスペンス演出はニコラス・レイを思わせますし、あるいはグロリア・グレアム絡みのシーンもすべてレイが撮っているのかもしれません。それにしても彼女は最高ですね。サイコロを振る、ドアを足で閉める、煙草を指で弾くといった惚れ惚れするような身体アクションの数々に、ジェーン・ラッセルが妖艶に歌うシーンの印象などはどこかへ吹き飛んでしまうのでした(まあ単にジェーン・ラッセルが好きじゃないという理由もあるんですが笑)。それとレイとヴェンダースのこと。ジャンク船が『水上の稲妻』を、桟橋が『ハメット』を想起せずにはいられません。

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盤質。画質は中程度。オリジナル音声(字幕オン・オフ可)と仏語吹替え音声が収録されています。