『ドリーマーズ』 ■■■

監督:ベルナルド・ベルトルッチ

時代設定が5月革命前夜のパリなんですが、そこは曲者ベルトルッチ、単なる自伝的要素の強いノスタルジックな青春映画ではなく、閉鎖的な空間内での倒錯めいた三角関係を描いた一種の性愛ファンタジーになっています。ベルトルッチお得意の室内劇、暖色系の色彩と照明に陰影が加わった官能的で濃密な画面造形(ストラーロほど素晴らしくはないにしても)は相変わらず見事だし、鏡や蝋燭やランプシェードや布テントといった小道具も効いてます。後半の過剰なセックス描写と裸体の氾濫(もちろんそこには男色趣味もある)は少々やりすぎな感もありますが、エヴァ・グリーンの肉体の存在感(要するにエロい)は素晴らしかったです。勿論パゾリーニ大島渚へのオマージュも含まれているのでしょう。マイケル・ピット(ディカプリオ?)とルイ・ガレルもなかなか魅力的でした。シネフィル濃度の濃い引用が沢山出てきますが、やはりゴダールの扱いは特別でしたね。