『胸に輝く星』 ■■■

監督:アンソニー・マン

ひたすらエエかっこしいのヘンリー・フォンダよりも頼りない保安官アンソニー・パーキンスがいろんな意味で良かったですね。「斜面の作家」たるマンならではの岩山でのネチネチした攻防がありますが、それ以上に強烈な印象を残すのは保安官事務所の大きな窓でしょう。窓の内側と外側の様子をパン・フォーカスによって同時描写する奥行きのある画面造形、構図が素晴らしいです。ちなみに本作の脚本は『駅馬車』のダドリー・ニコルズで、二段構えの対決という筋書きには思わずニヤリでした。省略と伏線も実に巧み。強張った表情のパーキンスの横に、拒み続けていた保安官バッジをさりげなく胸に付けたフォンダがスッと微笑みながら現われるショットは最高でしたね。