『縛り首の木』 ■■■□

監督:デルマー・デイヴィス

いやいやさすがはデルマー・デイヴィス。本作も爽快さや格好良さとは無縁の西部劇だった。舞台は山あいの金鉱町(如何にも新興といった風情のセットが秀逸)。地平線なき閉鎖空間、欲望と憎悪と孤独、単純ならざる人間模様。まさに50年代ならではの歪んだ西部劇だ。だからこそ面白い。群集の描写もユニークでその拝金主義的、日和見主義的な存在にはほとんど悪意に近いものを感じさせる。人を食ったようなご都合主義的結末には思わず笑ってしまった。それにしてもゲイリー・クーパーマリア・シェルを犯そうとするカール・マルデン(やっぱ良い味出してるなぁ)に拳銃を4発もブチ込んだ挙句に崖から蹴り落とすシーンには驚愕。だってゲイリー・クーパーっすよ?