『ワイルド・アパッチ』 ■■■□

監督:ロバート・アルドリッチ

単純ならざる構図と陰惨さ。ベトナム戦争の影を帯びた寓意に満ちたウェスタン追跡劇。従来のハリウッド製西部劇とは一線を画する残虐描写(死体から心臓を取り出し投げ合って楽しむインディアンたち、死体の口に入れられた犬のペニスなど)が特色。アパッチが吹くヘタな突撃ラッパを騎兵隊だと思い、恍惚たる表情で「神よ、御身に賛美あれ御身に栄光あれ」と呟きながら小屋を出て殺されてしまう老牧夫(反『駅馬車』的な反復)や、レイプされた白人女性が川で半狂乱状態となって精液を洗い流すシーンの異様さも忘れ難い。ベテラン・スカウトを演じるバート・ランカスターの枯淡な味わい(最後が渋い!)。騎兵隊隊長と白人に味方するアパッチ、若い二人の主役を見事に引き立てている。荒野でありながら湿り気を感じさせるジョセフ・バイロックのキャメラも絶品だ。

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PAL/NTSC変換マスター&ヘッポコ字幕。何とかなりませんかねUPJさん。