『ヒッチハイカー』 ■■■

監督:アイダ・ルピノ

スリリングなロードムービー。何と言っても片目が義眼の殺人ヒッチハイカーを演じるウィリアム・タルマンが強烈。まるで『夜の人々』のハワード・ダ・シルヴァが甦ったかのようだ。ニコラス・ムスラカによる不気味な闇の造形はまさにフィルムノワール的なのだが、驚くことにこの作品にはヒロインが不在なのである(それどころか女性はまったく登場しない)。これは当時のハリウッド映画としては極めて異色の設定だったのではないだろうか(よく上層部がOKしたものだ)。結婚指輪が物語を終局へと導く小道具として機能するというのもアイダ・ルピノの女性ならではのこだわりを感じさせる(ちなみに本作の脚本はルピノと当時の彼女の夫だったコリア・ヤングが共同で執筆している)。

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盤質。画質は可もなく不可もなく。パブリック・ドメイン盤に多く見られるヘンなコマ落ちや激しいブレや醜い残像などはない。チャプター画面がTOP画面扱いになっているのはちょっと手抜きかも。