『死の谷』 ■■■■

監督:ラオール・ウォルシュ

ハイ・シエラ』の西部劇版セルフ・リメイクだが、こちらの方がより悲劇的ロマンの色合いが濃い。ヴァージニア・メイヨが圧倒的に良く、ジョエル・マクリーと共にメロドラマ的破局へと突き進む終盤の展開が泣ける。本作のあまりにも呆気ない(ズームには驚いた。嫌いな演出だが、これは全く見事という他ない。まさに"絶望のズーミング"だ)、それ故に心揺さぶられるラストを見てしまったら、『俺たちに明日はない』のスローモーションと88発の銃弾など子供騙し以外の何物でもないだろう。