パルテノン多摩にて。観客数はキャパの半分ぐらい。

『ディア・ピョンヤン』(ヤン・ヨンヒ) ■■■

オボジとオモニが最高。いつまでも眺めていたい夫婦だ。ある在日コリアンの家族の肖像であり、それ故のシビアな描写もあるにはあるが、作品の体温は高く、随所に豊かなユーモアが息づいていて、見終わった後に何とも温かい余韻が残る。終盤にフッと現れる小津映画のようなショットの連なりも感動的だ。この作品は90年代以降、世界的な一大潮流を形作ることになったセルフ・ドキュメンタリーというジャンルに属する一本であり、佐藤真が『ドキュメンタリーの修辞学』の中で述べた「ステレオタイプ化した若者像や在日朝鮮人像を解体する小気味よさがある一方で、個人の雑感に閉じてしまう弱さを併せもっている」という言葉にも見事に当てはまる。しかし、こういった"自分探し"のテーマを内包した極私的な家族ドキュメンタリーの方法論、私は大いにアリだと思う。というわけで松江哲明の『あんにょんキムチ』が益々見てみたくなった。是非ともDVDになって欲しいなあ。

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上映後にヤン・ヨンヒ監督のトークショー


『ルート181』(ミシェル・クレフィ&エイアル・シヴァン) ■■■■

イスラエルパレスチナ問題に対する視野がとてつもなく広がった。大充実の4時間30分だった。

ルート181から読み解くパレスチナとイスラエル:パレスチナ情報センター
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