『裸の拍車』 ■■■■□

監督:アンソニー・マン

50年代西部劇最高の一本か。やはりマンの西部劇は一味も二味も違う。陰気で弱々しいジミー・スチュアート、どこまでも下衆なロバート・ライアン(馬ではなくロバに乗るのが絶妙にカッコ悪いw)、欲深いミラード・ミッチェル老、騎兵隊くずれで非業な最後な遂げるラルフ・ミーカー、紅一点ながら大きなコートで性的魅力を包み隠すジャネット・リー。すべての登場人物はどこか歪んでいる。単純明快さとヒロイズムというお決まりの図式には全く当てはまらない、痛みに満ちた西部劇なのだ。マンの刻印とも言うべき高低、斜面、横臥の主題もいかんなく表現されている。洞窟で雨をしのぐシーン、渓谷の激流を俯瞰で捉えながら展開する岩山の対決シーンなど素晴らしかった。

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盤質。画質そこそこ。発色は悪くないのですが、シュートが目立ち、解像度もやや甘いです。