『夜歩く男』 ■■■□

監督:アルフレッド・ワーカー&アンソニー・マン

全編ほぼ夜間シーンで構成され、俳優は誰一人知らずヒロインも不在、セミ・ドキュメンタリー風の演出、と派手な要素が何一つない激シブのフィルムノワール。名手ジョン・アルトンによる濃厚な闇と単光源の光の美しいコントラストが見物。興味深いのは犯罪者が地下水道へ逃げたのは『第三の男』のオーソン・ウェルズではなく本作のリチャード・ベースハートが嚆矢だったということだ。そのベースハートが高いところに位置する横穴へ逃げ込み、下から警官に撃たれて落下(その前にガスで燻し出される!)し絶命する最後のシーンはアンソニー・マン的な主題を強く感じさせる演出で、これはアルフレッド・ワーカーの演出なんだと言われたとしても勝手に無視しようと思う(笑)。

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盤質。PD盤にしては綺麗な画質です。見苦しい画面ブレもなくノイズもほとんど気になりません。