『母たちの村』 ■■■

監督:ウスマン・センベーヌ

先日他界したウスマン・センベーヌの遺作で、女子割礼*1をテーマにアフリカ女性の人間性の解放を声高に唱えた力強い人間ドラマ。脚本がお見事。登場人物の造形と配置が巧く(因習に敢然と立ち向かう女性コレ、そして三人の男、とりわけ雑貨屋を営む"傭兵"と呼ばれるキャラクターの存在が効いている)、2時間弱という長尺を弛緩することなく見せ切る。小さな女の子の割礼と割礼された成人女性のセックスをカットバックで見せるシーンには少なからず衝撃を受けた。クライマックスとも言えるシークエンスでやや長めに映し出される割礼用ナイフのクローズアップは、これが宗教的な儀式のための聖なる道具などではなく、女性性器切除という非人間的な行為のための野蛮な道具であることを強烈に示している。