『着ながし奉行』 ■■■□

監督:岡本喜八

TV時代劇。原作は山本周五郎の『町奉行日記』。同じ原作を市川崑が『どら平太』というタイトルで映画化しているが、面白さは岡本版の方が圧倒的に上。色彩にこだわった壁や審美的スローモーションによる殺陣など視覚性に富んではいるものの活劇性が乏しくやや冗長な市川版に比べ、岡本版は歯切れの良いストーリーテリング、躍動感のある編集、簡潔なアクション演出と元来ドラマ性重視である本作に小気味良い活劇性を与えているのはさすがと言うべきだろう。主演の仲代達也も見事なハマリ役だった(パトレイバー後藤隊長だw*1)。長髪白塗りの小太刀使いを演じる岸田森の薄気味悪さも良い。ちなみに『どら平太』で主役だった役所広司が、主人公にたて突く若侍衆の一人を演じている。

*1:ゆうきまさみによると後藤喜一のキャラクターデザインは岡本監督の『殺人狂時代』に出てくる仲代達也がモデルらしい